Apache License 2.0とは?商用できる?利用条件をやさしく解説

無料の素材やフォントを探している時に、ときどき遭遇する「Apache License」の文言…

ライセンスってことは知っているけど、詳しい内容までは知らない…って方、意外と多いのではないでしょうか?

  • そもそも、Apacheって何?何て読むの?
  • ライセンス条文が英文だから読む気しないよ…どんな利用条件が書かれているの?
  • 使用する際に、やらなきゃいけないことや注意点って何かあるのかな?

今回は、上記のような疑問について、調べました。ぜひご参考ください!

※本記事では、ライセンス条項の「5. コントリビューションの提出」については記載しておりません。

「Apache License 2.0」ってなあに?

question

読み方は「アパッチ・ライセンス」と読みます。「2.0」は、バージョンのことで、正確には「Apache License, Version 2.0」のことです。

Apacheというのは、Apacheソフトウェア財団(ASF)という、オープンソースソフトウェア(OSS)の開発や配布を行っている団体を示しています。

ちょっと補足
「オープンソースソフトウェア(OSS)」とは、ソースコードが無償で誰でも閲覧できる状態になっており、かつ、改良や再配布も許可されているソフトウエアのことです。

ただ、そのために守らなくてはならないルールもあります。オープンソースソフトウェアの利用上のルールが記されたものが「オープンソースライセンス(OSS license)」です。

この団体が開発したもので有名な例を挙げると、以下のとおりです。

  • Apache HTTP Server
  • Apache Tomcat
  • Apache POI

私もシステム開発をしていた頃にお世話になりました。ソフトウェアやアプリを安く・早く開発するのに欠かせない非常に価値あるツールだと思います。

この団体は、自分たちの開発したソフトウェアを、不特定多数の人たちに無償で提供しよう!となった時に、その利用規約(オープンソースライセンス)を決めました。それが「Apache License」です。

ちょっと補足
前まで(バージョン1.1以前)は、「Apache License」ではなく「Apache Software License(ASL)」という呼び名でした。

「Apache License」は、とても有名なライセンスの1つで、世界的に利用されている主要なオープンソースライセンスの一つとなっています。

例えば、Appleが作ったプログラミング言語「Swift」のライセンスは「Apache License 2.0」です。

関係ないかも、と思っていた方も、今回知っておいて損はないはずですよ!

「Apache License 2.0」に遭遇する場面とは?

アパッチライセンスと出現する場面

「Apache License 2.0」は、ソフトウェア向けのライセンスなのですが、ソースコード以外でも使われていることがあります。

そのため、ソフトウェア開発者だけでなく、デザイナーやそうでない方も遭遇しやすいライセンスです。

例えば、こんな場面で出会えます👀

  • 無料素材配布サイト(フォント、アイコン、イラストなど)
    • 特に海外の素材サイトでよく見かけます。
  • GitHub
    • ソースコードを公開する場合によく使われますが、ライセンスを見ると「Apache License 2.0」だったということがよくあります。
  • WordPlessのテーマ、プラグイン

利用条件について教えて!

オープンソースライセンスは、「Apache License 2.0」以外にも数多く存在するのですが、他と比べるとルールが緩めで、特に企業にとって取り入れやすいと言われています。

私なりの見解も含め、易しくまとめてみました。ライセンス条文のあくまで補助として、ご参考ください。

許可されていること

やってもOKなこと

ライセンス条項の「2. Grant of Copyright License(2. 著作権ライセンスの付与)」と「3. Grant of Patent License.(3. 特許ライセンスの付与)」に記載されています。

  • 使用(無料です)
  • 商用利用(もちろん私的な利用もOK)
  • 改変
  • 複製
  • 公開
  • 再配布
  • 改変したものの配布
  • サブライセンス
  • アプリケーションへの埋め込み、同梱(Webフォントとしても利用可能)
  • 特許技術の利用
    • 配布物に特許技術が含まれている場合も、無償で利用できる
    • ただし、その特許に関して、誰かに特許侵害の訴訟を起こした場合、特許ライセンス停止となる

▼ Webフォントって?と思ったは下記の記事で解説しているので、よかったらどうぞ~

フォント拡張子によって何が違う?どれをインストールすべき? フォント拡張子によって何が違う?どれをインストールすべき?

ちょっと補足

Webフォントとして使用する場合、Web専用の形式(EOTやWOFFなど)を作成すると改変に該当します。

また、使用時に、第三者によってWebフォントをダウンロードされる(またはダウンロードできる状態にある)と再配布に該当します。

もちろん改変も再配布も、「Apache License 2.0」では許可されていますが、再配布(または改変したものの配布)をする場合には、以降で紹介する条件がありますので、目を通しておいてくださいね!

できないこと

禁止された使い方はある?

ライセンス条項の「6. Trademarks(6. 商標)」に、商標の使用を許可しないという意味の記述があります。

例えば、Apache Tomcatの技術を使うのは許可されていますが、そのねこちゃんのロゴを改変して再配布したり、自分の作品のようにネットで公開したりするのはダメということです。

オープンソースで配布されているからといって、何でもかんでも自由に使っていいよ、というわけではないですもんね。

例外として、再配布する場合に出所表記したり、NOTICEファイルの内容を複製するなど、止むを得ない場合は大丈夫です。

注意事項

注意事項

ライセンス条項の「7. Disclaimer of Warranty.(7. 保証の否認)」と「8. Limitation of Liability.(8. 責任の制限)」、「9. Accepting Warranty or Additional Liability.(9. 保証または追加的責任の引き受け)」には、保証や責任についての記載があります。

使用や配布に伴うトラブルは、特別な取り決めがない限り、自己責任!です。配布元や使用者に責任を負わせることも基本的にできません。

また、ライセンス適用をお考えの方は、「2. Grant of Copyright License. (2. 著作権ライセンスの付与)」にもよく目を通しておいてください。

ライセンスを一度適用すると、取り消しできないとあります。使用期限の変更や使用料を求めることもNGです。

こんな条件があるおかげで、提供者も受領者も、トラブルが無いよう気を配った利用が期待できるというわけですね!

再配布する場合にやることは?

ライセンス条項の「4. Redistribution.(4. 再頒布)」に、再配布時の条件について記載があります。

  1. 「Apache License 2.0」のライセンス条文のコピーを提供すること
    • 受領者に「Apache License 2.0」の成果物(または派生成果物)であることが分かるようにするためです
  2. 改変したものを配布する場合は、変更点を明記すること
    • 変更履歴を作成し、そこに記載するのが良いと思います(変更者名、変更日、変更内容、変更箇所)
  3. ソースコード形式の場合は、元のソースコードに書かれている著作権、特許、商標、および帰属についての表示もコピーして提供すること
  4. 配布元に「NOTICE」に相当するファイルが含まれている場合、その中に書かれている帰属表示のコピーも提供すること
    • 詳しい書き方は原文を参照ください!

1については、ライセンス条文のコピーだけだと『この成果物に「Apache License 2.0」を適用します』という宣言だと誤解されかねないので、下記のような説明文を加えるのが良いと思います。できれば「Apache License 2.0」の条文へのリンク(またはURL)も記載しておくと親切です。

This software includes the work that is distributed in the Apache License 2.0.

このソフトウェアは、 Apache 2.0ライセンスで配布されている製作物が含まれています。

▲”ソフトウェア(software)”の部分は、フォント、アイコンなど適宜変更してくださいね!

記載する箇所は、GitHubやソースファイルで配布する場合は「README」に書いておくのが良いでしょう。

そうでない場合は、TXTファイルでも紙媒体でも良いので、とにかく受領者が確認できる形で提供しましょう。

もし仮に書き方が間違っていたとしても、気づいたら直す、指摘されたら直す、ということで真摯に対応していけば良いと思います😊

ちょっと補足

Apache License 2.0で配布されていたからといって、配布元のライセンス(Apache License 2.0)を継承する必要はありません。

Apache License 2.0に加えて独自の利用条件を定めたり、異なるライセンスで配布することもできます。

さらに補足

ちなみに再配布に該当しない場合は、「4. Redistribution.(4. 再頒布)」の項目に書かれたことをする必要はありません。(というのが私の見解です)

※心配な場合は、どんな場合であれライセンス表記をしておくのが無難です。

「Apache License 2.0」を適用したいときは?

ライセンスを「Apache License 2.0」で配布したい場合は、ライセンス条項の「APPENDIX: HOW TO APPLY THE APACHE LICENSE TO YOUR WORK(付録: Apache Licenseの適用の仕方)」の記載に従っておけばOKです。

下記の定型文を配布物に添付しましょう。「LICENSE.txt」に含めると良いと思います。

[yyyy][name of copyright owner]の部分は、自分の情報に書き換えてくださいね。

Copyright [yyyy] [name of copyright owner]

Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the “License”);
you may not use this file except in compliance with the License.
You may obtain a copy of the License at

http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0

Unless required by applicable law or agreed to in writing, software
distributed under the License is distributed on an “AS IS” BASIS,
WITHOUT WARRANTIES OR CONDITIONS OF ANY KIND, either express or implied.
See the License for the specific language governing permissions and
limitations under the License.

記載箇所は、Webサービスの場合はページ上(利用規約やヘルプページの近く、または利用規約に含めてもいいかと思います)にライセンスに関するページを設けて明示する。

アプリの場合は、アプリ内(設定画面かヘルプ、ライセンスページ)と、インストール前に確認できるようにアプリストア(App Store、Google Play)の説明にも記載しておきましょう。

さいごに

さいごに

ライセンスは変更されることがありますので、なるべく使用する度に、ライセンスの原文を読むことをお勧めします。

時間はかかるかもしれませんが、上から一語ずつ読み解いていけば、思ったほど難しい内容ではありません…!うん…!

▽ オープンソースライセンス(OSSライセンス)には、他にもこんなものがあります

クリエイティブコモンズライセンスとは?利用条件とクレジット表記の書き方を解説

参考サイト

▼ Apache License, Version 2.0のライセンス条文はこちら

http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0

▼ Open Source Group Japanによる日本語訳も公開されていますので併せてどうぞ。とはいえ私は理解に苦しみました…

https://ja.osdn.net/projects/opensource/wiki/licenses/Apache_License_2.0

▼ 他のOSSライセンスとの利用条件の比較を行いたい方にはこちらが便利です

参考 AppendixChoose a License

▼ 再配布する場合に、やり方の参考になります

参考 Android アプリに Apache License, Version 2.0 のライブラリを組み込むときにしなければならないことひだまりソケットは壊れない

この記事で使用した素材

※素材を使用する際は、素材配布サイトの利用規約をよく読み、ルールを守って使用しましょう!

素材サイトの利用規約で最低限チェックすべき注意点5つ