そのキャッチコピー違法かも?景品表示法を事例でやさしく解説!

今回は、チラシやホームページ等の販促物を作る・売り文句を考える前に、知っておくべき「景品表示法」について、はじめて知る方向けにやさしく解説します。

  • 販促物を作る予定だけど、どんな表示や表現がNGなのか、そういえば知らないぞ・・・
  • 実際よりもおおげさな表現で宣伝したら、多くの人が訪問してくれて、売上も上がった!これも競争を勝ち抜くためには仕方ないよね!

こんな方は、ぜひこの機会に知っておいてください!

知らなかったでは済まない「景品表示法」

景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法は、チラシやPOP、ホームページ、バナー広告、看板、テレビショッピングのような動画など、販促物づくりや売り文句を考える場合に、絶対に気を付けなければならない法律です。

たとえ知らなかった(故意ではなかった)としても、違反扱いになりますし、疑わしい場合には、裏付けとなる資料の提出や事情徴収を求められることがあります。

もし違反した場合には、金銭的な負担が課されるだけでなく、法律違反したことは消費者に公開される(事業者側も消費者に徹底周知しなければならない)ため、消費者の信用を大きく失ってしまいます

知らなかったでは済まないのです・・・😭

私自身、今回調べてみて「知らなかったら、やっちゃってたな・・・」と身につまされる事例もありました。

それでは、自分やクライアント、その先の消費者を守るために、いったい「景品表示法」のどんなことに気を付けるべきなのか、みていきましょう!

「景品表示法」って何のためにあるの?

不当な顧客誘引

あなたは、不当な表示過剰に豪華な景品につられて、不利益を被ったことはありませんか?

たとえば・・・

  • 今契約すると5000円引き!と広告バナーに書かれていたので契約ページへ進んだが、契約する直前の画面に5000円引きとなる条件が見つけにくい位置に小さな文字で表記されており、実際には無条件ではなく条件付きだった。
  • ハワイ旅行が当たるというおまけ付きだったので、普段は決して買わない高めのお菓子を買ったが、品質は悪く割高に感じた。ハワイ旅行も当たらず失敗した。

「景品表示法」は、このような不当な顧客誘引を禁止し、消費者の利益と事業者の公正な競争を守るための法律です。

「景品表示法」で禁止されていることは?

景品表示法で違反となること

「景品表示法」で禁止されていることは、次の2点です。

  1. 不当な表示
    • 消費者に誤認されるような表現をすることです
  2. 景品類の制限及び禁止
    • 景品表示法に定められた額を超えて過剰に豪華な景品(賞品や粗品、プレゼントなど)を提供することです

「2. 景品類の制限及び禁止」については、普通は販促物づくりの前、売り文句を考える前に決めることだと思うので、本記事では説明を省きます。ですが、もし知らなかった方は、景品の上限額は法律で制限されているということを覚えておいてくださいね。

今回は、制作物を作る際に特に気を付けておきたい「1. 不当な表示」について、より詳しく紹介していきます。

景品表示法で禁止されている「不当な表示」の例は次のとおりです。

※なお、以降で紹介する例は、消費者庁ウェブサイトの景品表示法に関する解説または事例を参考にしています。事例に関しては、匿名性やわかりやすさの都合上、一部内容を変更しています。また、例に当てはまれば必ず違反になると断定するものではありません。

参考 景品表示法消費者庁

1.優良誤認表示

【優良誤認表示】は、商品やサービスの品質、規格、その他について、事実よりも優れているようにみせることです。

違反となりうる例

優良誤認の違反例

旅行情報サイトで紹介されている旅館の紹介文で、「〇〇旅館の露天風呂は、地下深くから湧き出る良質な温泉」「とろりとした肌触りのお湯」などと、あたかも浴槽のお湯は温泉であるかのように示す表示がされていた。

しかし実際のところ、温泉ではなく、水道水を温めたものだった。

他にも・・・

  • 「走行距離5万キロ」と表示された中古車が売られていたが、実際には表示距離を上回るものであった。
  • 予備校のチラシに「合格率 〇〇大学97%」と表示されていたが、実際には表示数値を下回るものであり、架空の数値であった。
  • メニュー表の料理に黒毛和牛使用と書かれていたが、実際にその料理に使われているのはただの和牛だった。

2.不実証広告規制

【不実証広告規制】は、合理的な根拠もなく、「〇〇に効果がある!」「××の性能がある!」などと表示・宣伝することです。優良誤認表示に違反してしまいます。

違反となりうる例

不実証広告規制の違反例

健康食品(サプリメント)の広告で、「飲むだけで、食べてなかったことに!?」などと、あたかもそのサプリを摂取するだけで、食事からのカロリー摂取を阻害し、特別な運動や食事制限をすることなく飲むだけで痩せる効果があるように示す表示がされていた。

しかし実際のところ、表示の裏付けとなる合理的な根拠はなかった。

他にも・・・

  • 「最速6~10時間で充電完了」と商品パッケージに表記されているが、実際には表記時間を大幅に上回り、事実と異なっていた。
  • 「ウイルス99%除去!消臭&除菌も!」と空気清浄機に表記されていたが、実際には表記されている効果の裏付けとなる根拠はなかった。

3.有利誤認表示

【有利誤認表示】は、価格やサービス、取引条件について、事実よりも有利に(お得に)みせることです。

違反となりうる例

有利誤認の違反例

塾の入会案内チラシで、「一万円割引実施中」「期間限定 〇月〇日~×月×日まで」「今ならチャンス」などと、あたかも表示期間内に申し込んだ場合に限り、正規受講料から1万円値引きするかのように示されていた。

しかし実際のところ、表示期間が終了しても長期間にわたって同額の値引きを行うキャンペーンが行われていた。

他にも・・・

  • 「安心の10年保証!」と表記されていたが、実際には一部の商品のみが対象で、条件付きであることは明記されていなかった。
  • 「授業料月々1万円!年会費や違約金等は一切かかりませんので安心ください」と表記されていたが、実際には授業料の他に入会金を支払う必要があった。
  • 家電量販店で通常価格と値引き後の価格が表示されていたが、通常価格で売られていた実績は一度もなかった。(不当な二重価格表示に該当します)

4.その他(6つの告示)

4-1.無果汁の清涼飲料水等についての表示

清涼飲料水、乳飲料、はつ酵乳、乳酸菌飲料、粉末飲料、アイスクリームなどについて、原材料に果汁や果肉が全く使用されていない、あるいは5%未満で、その旨が明示されていない場合、果汁・果肉が含まれていると誤認の恐れがある表示は違反となります。

たとえば・・・

  • 「レモネード」「〇〇フルーツ」などと、果実名を用いた商品名、説明文などを表示する
  • 容器や包装などに、果実のイラスト、写真、図案を表示する
  • 商品自体または容器や包装などを、果汁・果肉と似た色に着色する、似た香り・味付けにする

※無果汁であれば、「無果汁」、「果汁を含まず」、「果汁ゼロ」、「果汁0%」と誤認のないよう明記されていれば大丈夫です。

違反となりうる例

無果汁の清涼飲料水等についての表示の違反例

乳飲料のパッケージに、「オレンジ牛乳」の商品名が表記されており、パッケージはオレンジ果実を連想させるオレンジ色をしていて、無果汁の明記もなかったため、オレンジ果汁が入ったフルーツ牛乳的な飲料と勘違いした。実際は、果汁は含まれておらず、ただの牛乳だった。

4-2.商品の原産国に関する不当な表示

消費者が原産国を誤認する恐れのある表示は違反となります。

違反となりうる例

商品の原産国に関する不当な表示についての違反例

衣料品の商品タグに「SHIRT NEW YORK」と英字で書かれており、そのほかに製造元を示す表示はなかったため、ニューヨーク製のシャツだと誤認した。実際は、デザインはニューヨークのデザイナーが行い、製造は日本で行っていた。

※この場合、「デザイン:米国 製造:日本」あるいは「この製品は米国〇〇社のデザインにより〇〇屋が製造しました」「デザイン:米国 製造:〇〇屋」などと明記されており、誤認される恐れがなければ違反にはなりません。

4-3.消費者信用の融資費用に関する不当な表示

消費者信用の融資費用について、実質年率が明示されていない場合、次の表示は違反となります。

(1)アドオン方式による利息、手数料その他の融資費用の率の表示
(2)日歩、月利等年建て以外による利息、手数料その他の融資費用の率の表示
(3)融資費用の額の表示
(4)返済事例による融資費用の表示
(5)融資費用の一部についての年建てによる率の表示

※引用:消費者信用の融資費用に関する不当な表示|消費者庁

4-4.不動産のおとり広告に関する表示

顧客を誘引するための「おとり」として、魅力的な不動産だが、実在しない住所・売約済み・実際には取引する意思がないなどの物件を広告に掲載することは、違反となります。

違反となりうる例

不動産のおとり広告に関する表示の違反例

不動産情報サイトに、条件の良い魅力的な物件が紹介されていた。

すぐにその物件を取り扱っている不動産屋で該当物件について尋ねると、すでに売約済みだと言われ、別の物件を勧められた。

実際のところ、該当物件の住所は実在せず、顧客誘引のための「おとり広告」だった。

4-5.おとり広告に関する表示

  • 実際には販売できない、販売する意思がない商品・サービスを広告に掲載することは「おとり広告」に該当し、違反となります。
  • 販売可能な品数が広告表示の品数を下回るにも関わらず、その旨が明示されていない場合も、「おとり広告」に該当し、違反となります。
  • 対象の顧客や期間、一人あたりの点数が限定されているなど、条件があるにも関わらず、その旨が明示されていない場合も、「おとり広告」に該当し、違反となります。

違反となりうる例

スーパーのチラシに「目玉商品 〇個限定販売!」と表記されていたが、実際は表示商品を取り扱っていおらず、店舗へ行くと「売り切れ」と記され、似た別の商品が売られていた

4-6.有料老人ホームに関する不当な表示

有料老人ホームの選択に関わる重要要素(土地、居室、設備、サービス、職員、費用など)について、条件が明示されていない、費用内訳が明らかでないなど、誤認を招く恐れがある場合、違反となります。

違反となりうる例

老人ホームの入居案内パンフレットに、プールの写真が載せてあり、利用料金が別途かかることの記載はなかったため、老人ホームの利用料金に含まれていると誤認した。

実際には、プールを利用する度に別途利用料がかかるだけでなく、プールは施設の敷地内には無く、歩いて20分ほどの別会社が経営している〇〇センター内にある設備だった。


つまるところ1~4のどれも、消費者に誤認されるような表現はやめましょう!ということです。

なので、そのことを意識して、キャッチコピーなどの文言を考えたりイラストや写真の選定をし、事実を証明する根拠を示せるようにしておけば、難しく捉えなくても大丈夫かと思います。

と言いつつも・・・うっかり違反してしまう可能性もあるんです😭

うっかり違反してしまう可能性も!?

注意事項

「消費者を騙すような表示なんて、自分は誠実に商売してるから心配ないさ!」

と思った方、故意ではなくても、うっかり違反する可能性もあるんです。

たとえば・・・

  • キャンペーン期間が終わっているのにも関わらず、キャンペーン広告を撤収し忘れており、まだ続いているよう見えている
  • 商品スペックに変更があったが、商品カタログの表記を更新し忘れてそのままの状態になっている

社内・顧客との情報伝達ミスや、うっかり更新忘れ・訂正漏れなどによって知らぬ間に違反してしまう恐れもあります。

くれぐれもどうかお気を付けください・・・!

もし景品表示法に違反しているかどうか迷ったら?

しっかり気を付けようと思ってはいても、もし違反してしまった場合のことを考えると、やっぱり心配ですよね。

迷った際は、消費者庁の窓口や、専門の行政書士・弁護士に相談してみてください。専門家に確認を取るのが一番手っ取り早く、確実&安心です。
※こんな記事を書いていますが、私は法律の専門家ではないので相談には乗れません、ごめんなさい。

消費者庁ウェブサイトの景品表示法に関するページには、よくある質問コーナーが設けられているので、自分に合った質問がないかどうか探してみるのも良いと思います。

参考 よくある質問コーナー(景品表示法関係)消費者庁

また、過去に景品表示法に違反し措置命令が下された事業者やその違反内容については、公正取引委員会のサイトで公開されています。

どんな場合に違反となるのか、とても参考になりますので気になる方はどうぞ!

参考 景品表示法|報道発表・広報活動公正取引委員会

さいごに

さいごに

今回は、景品表示法の内容をよく知らない人(私も含めて…)がいるだろうな、と思い、はじめての人向けの内容をご紹介しました!

「この表現、ひょっとして誤解を与えるかも・・・」

と思ったら、たとえ法律に違反していなくても、正しい判断ができるように補足説明を明示したり、その表現はやめて別の表現にする、などの気遣いある表現を心掛けましょう!

結局のところ、そういった真面目で正直な人柄が、信用されて成果の出る素晴らしい販促物への近道となるはずです😊

この記事で使用した素材

※素材を使用する際は、素材配布サイトの利用規約をよく読み、ルールを守って使用しましょう!

素材サイトの利用規約で最低限チェックすべき注意点5つ